設計寺子屋全6回開催

住宅計画プランニング下絵エスキスを学ぶ

設計「寺子屋」。


設計「寺子屋」は、
建築士を育成する学校ではない。
高度な設計テクニックを学ぶ学校でもない。
流行の「CAD」も「iPad」も使わない。
あえて言えば「素朴」に戻り、
鉛筆を手に、トレペに向かってプランを練り、
手の持つぬくもりを、
ユーザーに伝えたい、と思うのだ。


渡辺崋山が描いた、江戸時代の寺子屋。ストレスを感じることなく、めいめいが自分の学びを楽しんでいます。それが「寺子屋」です。
(愛知県田原市博物館所蔵 絵葉書より)

寺子屋とは?
上の寺子屋の絵で、注目してもらいたいのは、右の方の、しっちゃかめっちゃかで、酷い光景です。けれども、教えている先生は、まったく気にすることなく平然というか、ニコニコ笑っています。
当時の寺子屋がやっていたのは、主に「読む」ことと「書く」ことでした。「書き」はお習字ですが、基本的には自主学習でした。たいがいのことを先生は怒らない。静かさを保とうとか、ぴしっとさせようともしません。実は、そこに寺子屋の本質があったと言います。「勉強は強制するものではない」というのが、寺子屋だったからです。
「いいこと」をしたら、たまに誉められることもありましたけど、江戶時代の子どもたちは、自主的にやるのが教育だという点において、世界に冠たる教育の場でした。それは、「寺子屋」と名付けられたように、仏教の宗教観に由来していて、いうまでもなく仏教の最終的な境地は、「悟りを開く」ことにあります。
境地に達するとは、人から「お前は悟りを開いたな!」と言われることでなく、自分でこも山に篭ったりとか、滝に打たれたりして自発的にやる以外ありません。滝に打たれて「冷たいからいやだ」と思ったら、そこでおしまいです。
寺子屋で学ぶのもそれと同じで、自分でやらない限り意味がない、という性格のものです。士農工商によって「学ぶ」ことが、自分の将来に直接結びつくものでなかったこともありますけど、このような江戶時代の寺子屋が、全国に無数にあり、それが明治時代を準備したのだと、かの司馬遼太郎は言います。
日本の小学校の開校は、明治維新が起こって間もない時期に、全国で澎湃として生まれました。明治 12年に教育令が公布されましたが、すでにその前から、各地で小学校が開 校され出します。明治6年の小学校数は1万2千校、児童数は114万人。それが明治12 年には2万8千校、児童数230万人に膨れ上がりました。
前に富山県立山町の小学校のことを調べたことがあります。江戶時代の立山町は、立山連峰の裾野にある辺鄙な村でした。明治17 年に、村⺠がお金を出し合って、町の一番いい場所にある高台に小学校をつくりました。
⻄郷隆盛の⻄南の役が起こったのは明治 10 年です。明治維新の硝煙収まらない時期を前後して、日本のあちらこちらに、たくさんの小学校を生れたのです。それは、江戶時代に寺子屋があったからで、この土壌の上に生まれた、と司馬遼太郎は言うのです。
しかしながら、渡辺崋山が描いた、しっちゃかめっちゃかの寺子屋が、明治になってそういうことになったということ自体、信じられない話です。

住まいの設計のおもしろさを、2人の先生から学びます。

片山和俊かたやまかずとし

建築家。東京藝術大学名誉教授。
東京藝術大学美術学部建築科卒業・同大学院修了。
受賞/日本建築家協会新人賞・日本建築学会賞・土木学会デザイン賞最優秀賞。

片山先生の著書『家の顔」』

設計は手で考えると育ってきたが、CADはどこか違う。昔の手書き、ツーカーの関係に戻ってみよう。



松澤穣まつざわみのる

建築家。多摩美術大学教授。
東京藝術大学美術学部建築科卒業・同大学院修了。
松澤穣建築設計事務所代表。
作品/欅の家・里山住宅博ヴァンガードハウスなど。

松澤先生による「里山住宅博ヴァンガードハウス」

「肩幅の紙面上に手書きで考える。」
吉村順三先生の言葉です。
肩幅であり汎用コピー機の最大のA3判が設計者のキャンバス。
手書きには必ずやスケールを伴います。立体的に理解し、スケッチで表現しながら、1/100・1/50・1/20・1/1の各スケールの特徴を学びましょう。


何を学べるか?

設計のいろはの「い」から始めます。この「い」は住まいの設計の真髄に触れるもの。むずかしいことを分かりやすく、深いことをやさしく学べる場(主に片山先生)とし、鉛筆とトレペから生まれる手練のおもしろさが感じられる場所(主に松澤先生)にしたい、といいます。

設計「寺子屋」の進め方
9月22日に第1回の「寺子屋」を開きます。その日までに、どんな身支度をして、どんな準備をするかについて述べます。まず、身支度については、方眼紙と鉛筆を手の物語で用意し、参加者にお送りしました。
まず、行って欲しい ことは、鉛筆削りか、カッターナイフか、小刀を用意し、お送りした筆箱から2Bと4Bを取り出し、各2本(合計4本)の鉛筆を削ってください。
次に、4.55mm版の方眼紙を取り出して、早速、エスキスに取り組みます。
今までに工務店で建てられた、あるいは自分が設計した建物の図面とか、部分図とか、施工図とかから 1 点を選び出し、鉛筆を握って筆写してください。そして描き出した方眼紙の空いた部分に、何を描いたかをメモしてください。
到着したものを、1回目の担当である松澤先生にお送りします。
それを受け取った松澤先生は、その中から数点を選び出して、それをその日の「寺子屋」の教材として取り上げてもらいます。
選ばれるものは、松澤先生が「これはいいなぁ」と感じたもの、あるいは「こんなのではあかん」と感じたもの、あるいはここを直したらこんなに良くなる、と思えるものなどです。
選ばれた人は、渡辺崋山の絵のようにお気楽ではいられませんが、その他の人は、それを見ながら、リンゴやお煎餅を齧っていても結構ですけど、設計のエスキスがおもしろくてたまらない、と思える境地に達したいと思うなら、授業のやり取りは「学びの宝庫」のようなものなので、注目して損はありません。
第2回の「寺子屋」を担当いただくのは片山和俊先生です。
片山先生は、この第 1 回の模様を見ていただくことで、80 歳になられる先生の経験から推して、最近の若い人に対して助言をお願いしたいと申し上げました。大事なことは、参加メンバーが、設計するとは何か、ということをつかむことで、先生の体験談や、自分が見たもの、考えてきたことなど自由にお話しいただければ、それがヒントになると考えました。片山先生たちの世代は、設計するとは、すべて手から始まるもので、CAD なんてものはありませんでした。
この寺子屋は、入り口は軽い感じのものです。このため、初心者のためだけの教室と見られていますけど、いい仕事をなされている建築家も参加されています。初心者が心に負担を感じることなく学べる場にしたいということはありますが、簡単なことや、基本的(ベーシック)なことに、実は本当に大切なことが詰まっていると考えています。
何事も、奥まで追っていくと深いものが見えてきますが、設計という仕事も同様で、初心者の方に、少しでもその奥深さに触れてほしいと思っています。
10 年くらい経ったとき、そうかあの時、先生が言われたのはこういうことだったのか、と気づくことがあるような、そんな授業をお2人の先生に期待しております。

松澤先生からのメッセージ動画

1.松澤穣先生に聞く、設計「寺子屋」のこと
松澤先生に、「寺子屋」で、どのようにみなさんと歩みをともにしていかれるかを聞きました。


2.松澤穣先生が愛する「道具」
松澤先生が愛用する「道具」について。寺子屋でも、これらの「道具」を活用します。

開催概要

【日程】
毎回、13:00〜17:00までの4時間

  • 第1回 2021年9月22日(水) 講師:松澤穣
  • 第2回 2021年10月21日(木) 講師:片山和俊
  • 第3回 2021年11月26日(金) 講師:松澤穣
  • 第4回 2021年12月17日(金) 講師:片山和俊
  • 第5回 2022年1月19日(水) 講師:松澤穣
  • 第6回 2022年2月24日(木) 講師:松澤穣

【会場】 zoomによるオンライン講習
参加者・期間限定で動画アーカイブを公開します。

参加費

[税込み・前納制]
  • 一般参加者様:45,000円/人 (内訳:参加費7,000円×6回=42,000円+道具代 3,000円)
  • 町の工務店ネット会員工務店様:3,000円/人(内訳:参加費無料/道具代 3,000円)
  • A2プロジェクト参加工務店様:3,000円/人(内訳:参加費無料/道具代 3,000円)

ご視聴・ご参加いただけますのは、ご登録された方のみとなります。

[道具代の内訳]
  • 手の物語オリジナル用箋 A3 4.55mm 方眼用紙 1冊
  • 手の物語オリジナル用箋 A3 6mm ドット方眼紙 1冊
  • トンボ鉛筆 MONO100 2Bと4Bセット(各6本・計12本)

手の物語オリジナル用箋 A3 4.55mm 方眼用紙

手の物語オリジナル用箋 A3 6mm ドット方眼紙

ドローイングに定評ある、トンボ MONO100 2Bと4Bのセット

共催/一般社団法人 町の工務店ネット・A2project
事務局/手の物語有限会社 協力/新建新聞社

お申し込み

受付は終了しました。

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