kayabuki 〜茅葺〜

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茅葺屋根の特長

(かや)(ぶき)は、茅(ススキやチガヤなど)を材料にして葺く屋根をいいます。英国やドイツなど、世界各地で広く見られ、日本では竪穴式住居の屋根に用いられ、防火性から江戸や京都などの都市部では衰退しましたが、農村地帯では、第二次世界大戦までは広く利用されていました。

茅葺きの家に入ると、その静けさにまず驚きます。大雨が降っていても雨音が小さく、それは優れた吸音性によるものですが、厚さによる影響も大きいといわれます。

茅葺の屋根は、おおよそ80㎝の厚さを持っています。茅を重ねながら葺いて行きます。この厚さの中に空気層が幾重にも構成されるのです。厚さによる遮音性と、材そのものが持つ吸音性とが相俟って静けさを生んでいます。
このことは、材が持つ断熱性・保温性についても言えることで、茅葺の家が夏涼しく・冬暖かいと言われるのは、材そのものが持つ特性と、80㎝もの屋根の厚さによります。

難点は腐りやすいことと、耐火性です。腐りやすさを避けるためには、充分乾燥させた茅を用いることと、屋根を急勾配にして、雨を材内部に浸透させないことです。
また、建物内部のカマドやイロリによる煙で燻されることにより耐久性が高まります。通気性がいいので、煙は材の内部に浸透し、燻してくれます。

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何故、茅葺は廃れたのか?

材料の確保は、村落周辺に茅場と呼ばれるススキやヨシなどの群生地がありましたが、農村の変化と共に、ほとんど姿を消してしまいました。

また、建築規制等により新たに建造することが難しくなった地域もあり、農村の過疎化が進んで、共同作業として行う葺き替え作業(結=ゆい)が困難になったことも大きく影響しています。

葺き替えだけでなく、農村の人口減と高齢化によって、維持管理も困難になっており、夏場の水やりもままなりません。専門業者に頼むと、多大の費用が掛かります。

建物そのものに文化財的な価値が認められるものならまだしも、一般の家で茅葺屋根にするのは、ほとんど不可能で、残念ながら、これはもう時代の流れというほかありません。

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茅葺のあり方を受け継ぐ

茅葺のよさを、現代住宅に活かせないかと考えました。

わたしたちはまず、その材料性に注目しました。茅という素材性が持つ吸音性・遮音性・断熱性・保温性を、同じように有している材料であること。第二に、それを茅葺と同じように厚く用いること。その厚さが、茅葺の空気層のような役割を果たすのではいか、と。

そうして選び出したのが「木の繊維断熱材」でした。日本では従来密度40㎏/㎥品しか生産されていませんでしたが、徐々に時代も追いついてきて、2018年より55kg/㎥品がメーカーのラインナップに加わりました。手の物語ではさらなる効果を求め、70kg/㎥品を特別に作ってもらっています。

この断熱材が、どのような性能を持っているかを、木の繊維断熱材の熱的物性値をつかんでシミュレーション解析しました。その結果を木の繊維断熱材紹介ページで紹介していますので、ご覧ください。

これによって分ったことは、夏の昼間のピーク熱の到達時間が相当に遅れることであり、夜間の放射冷却によって、室内に到達する前に外界に戻されることでした。夏の暑さは、屋根に篭もった輻射熱によるものなので、これはとても大きなことです。茅葺屋根が持っていた効能を、現代住宅に活かすことができたのです。

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