不思議な板材

〜手の物語は、何故、『Jパネル30』を選択したのか?〜

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丸天星工業のJパネルは、製品を左右する原木を厳選すると共に、製造時に含水率5%前後まで乾燥をはかることに大きな特長があります。この含水率は、かなり特殊なものです。

あえて例を挙げるとすれば、昔の弁当箱の「曲げわっぱ」でしょうか?
「曲げわっぱ」は、スギやヒノキなどの薄板を曲げて作られた円筒形の木製の箱です。丸天星の工場がある大井川水系の材を用いて作られた、地元特産品の「井川メンパ」もその一つです。ご飯が傷みにくく、軽量で、こんなに薄いのに変形しないため、地元だけでなく、「お弁当は井川メンパでなければ」と、全国から注文が入っています。

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「曲げわっぱ」は、独得の乾燥法が採られています。それは、冷水に漬けたあと、熱湯で一旦煮沸し、木の内部のリグニン(セルロースと並ぶ木材の主成分)を軟化させてから成形し、乾燥させるというものです。結合水が抜けると240℃以上で加熱しないとリグニンは軟化せず、したがって「曲げわっぱ」は変形しません。
Jパネルも、熱処理する段階でリグニンを軟化させ、徐々に結合水を抜いていきます。表面だけ高温乾燥させる他のやり方と、そこが異なります。巧みな熱処理を施し、内部割れを抑える点で、Jパネルと「曲げわっぱ」はそっくりです。

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丸天星の工場は、独得の熱処理乾燥法を生み出したSドライの大石千壽氏が付ききりで指導にあたっており、板材に特有の、反り・狂い・収縮・経年変化が少なく、高い寸法精度(厚みと直角)が担保されています(構造材においては内部割れの抑止)。
Jパネルの表面は、天然の木の表情を有しています。乱尺の巾接ぎ材だけど、合板のように人工的でなく、かつ自然の木の風合いがあります。板材としての魅力を持ち、そして強度を要求される床や壁など、構造用面材としても有用です。それらを集中的に表現しているのが、小口に見られる三層濃淡です。この小口を見ると、工業製品の形態を持ちながら、自然素材としての良さを併せ持った、不思議な板材であることが分かります。深い洞察と工場のノウハウが生んだ稀有な技術といえましょう。

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丸天星工業のJパネルは、知る人ぞ知る製品として評価を受けておりますが、同社は、技術が良ければ普及されると考えるきらいがあり、営業するでなく、宣伝することもなく、もったいないことに、折角の技術が広く伝えられてきませんでした。
「手の物語」にて取り扱わせていただく僥倖を得たからには、ぜひ多くの方にご利用戴きたく存じます。

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