Jパネル開発秘話 〜常識を打ち破った木材乾燥機〜

大石あの時は、ほんと、体の力が抜けたね。
もうね、立ってられないというか、その後どうしたかなんてほとんど覚えてないなぁ。
あんなにがっくりきたことはなかったね。

――当時を振り返るだけで脱力してしまうという大石さん。
巾はぎした単板を3層に直行させた面材・Jパネルの開発は、その乾燥過程が最大の難所となりました。
開発費1台1億円弱の乾燥機が2台並ぶ前から、乾燥機試験運転中の24時間、ずっと離れられなかったそうです。
そして、乾燥工程が終わり、扉が開けられた時……。

大石もう、がっくりだったね。
1.6tのオモリを持ち上げて、板が反りまくってるんだよ。炉の中で踊ってるみたいにね。
みんな言葉を失ったよ。
もうダメだと思った……。

――本日は、Jパネルの生みの親、丸天星工業株式会社JPS事業部技術部長の大石(ゆき)(ひさ)さんに、Jパネル誕生秘話と、手の物語で扱っているJパネル30のお話をうかがいます。

1日も早く木から離れろ!?

――大石さんは、製材機械屋さんという認識で良いのでしょうか。

大石今は、Jパネルの製造や乾燥機の製造・販売をしている丸天星工業に所属しているけど、前は中部機械製造という、(静岡県)島田市で古くから続く製材機械メーカーの代表でした。私は直系でいうと3代目で、四半世紀ほど代表を務めたかなぁ。
残念ながら、今はもうなくなってしまったけど。

――ここ、大井川の流域も、以前は木材産業が盛り上がっていたのでしょうね。

大石父親の代は、良かったと言う話は聞いたけど、私の代では、完全に斜陽産業。
代表に就任した頃、有名な先生の講演が島田市であったから、聴きに行ったことがあったんだけど、その先生、聴きに来ていた島田の材木産業者を前に、開口一番、「1日も早く木から離れろ!」なんて言うんですよ。

大石そんな話を聞いても、製材機械の仕事は、森林環境や住環境に直接影響する仕事だからね。やりがいもあるし、続けたいと言う気持ちは変わらなかった。
でも、今考えると、それが間違いだったかなぁ……、なんて。
斜陽産業をなんとかしようなんて思っちゃいかんね。

jb01
Jパネルの工場を案内してくださる大石さん

――Jパネルを開発しようという「きっかけ」はあったのですか。

大石当時、中部機械製造では自動製材システムが主力商品でしたが、野地板の分野で合板に杉の市場がどんどん奪われていくのを見て、これに対抗できる杉の新商品を創ってやろうと思いました。
ただ、同じ作るなら品質がとびぬけたものを、とも思いました。

大石構想をまとめ、ラインを考え、機械設計をして、新規に画像処理とかの専門スタッフも集めて、その頃には社員は10名以上になってたかなあ。

大石開発をはじめて7割がたの設備ができた頃、そろそろ木材乾燥機を入れようかと、乾燥機メーカーに見積りを依頼しました。

jb02
積み上げられた板が、このまま乾燥炉に入ります

素人こそが、大手メーカーを超える

――Jパネルのキーとなる、乾燥機ですね。

大石当時は、そういう意識もなかったけどね。
大手の何社かに、「24時間で含水率を12%程度にして、不良率2%以内の乾燥機がほしい」と打診したんだけど、「そんな機械はない!」とはっきり言われたね。
どこの乾燥機メーカーに聞いても、同じ答え。
じゃあ、どんな機械ならできるんだと聞いたら、「乾燥時間が4日間で、不良率20%以内のものならできる」って言うんだけど、それじゃ話にならない。

――突然、難題が降って湧いたのですね。

大石社内でその話をしたら、「無いなら作ろう!」って熱意あるスタッフがいてさ。園田くんって言うんだけど、今、うちで販売している木材乾燥機の『Sドライ』のSは、彼の「S」です。

★Jパネル30 ワンポイント解説
jcomp

巾はぎ板とは、単板を横方向のみに圧着して板にしたものだ。水分が抜けづらく、反りや割れがあり寸法精度が出ず、大きな材は高価になってしまう無垢材の欠点を補うべく登場した。薄いものから厚いものまで様々あるが、含水率・寸法精度・反りや割れなどの問題を抱えるものも少なくない。
Jパネルはこの巾はぎ板を3枚直交させることにより、その欠点を見事なまでに克服し、天然木材と工業製品の両方の長所を持ち合わせる面材。大石さん曰く、想像以上のものができあがった。驚くほど自動化された製造ライン、高性能の乾燥機、特徴はその製法にこそある。

――園田さんは、木材乾燥機をつくったことがあったのですか?

大石私も聞いてみたの、「木材の乾燥をやったことがあるのか?」って。
そしたら、「木の乾燥はやったことないけど、コーヒー豆ならある」って言うのよ。
「逆に、やったことがないからいいんじゃないか」なんてね。

大石コーヒーは、コンベアで豆が流れてくるところに過熱蒸気を吹き付けて、品質良く乾燥させる。このやり方は、食品業界と繊維業界でしかやってなかったのね。これを木材でやろうと。

――業界初の乾燥機ですね。

大石でも、私も不安だから、当時北海道にいた木材の専門家とコンサル契約を交わして、園田くんの疑問に答えてくれるように依頼したんだよね。
何ヶ月か経って、園田くんに「コンサルの先生と連絡を取ってるか?」って聞いたら、「一度も連絡してません」って。
「木の専門家たちがずっとやってきてこの状況なんだから、既存の専門家に頼ったって殻は破れないでしょう」だって。熱い男だよね。私も覚悟を決めました。

jb03
過熱蒸気式の乾燥炉

――そこで冒頭のシーンですね。

大石そう!
やっと乾燥機ができて、単板を入れて動かしてみたら……。

――乾燥機の中で、板が踊ってたんですね。

大石みんながっくりきて言葉もでなかったね。

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