太陽熱で空気をあたため暖房・換気
びおソーラー
びおソーラー、1年の働きと、季節の「先取り効果」
最近、春や秋の「中間期」が短くなったといわれます。春の訪れが遅くなり、残暑は10月になっても続きます。省エネ技術の多くは、寒い冬と過酷な夏を取り上げ、効果のほどを競いますが、本当に大切なのは、過ごしやすい「中間期」を伸ばすことです。
びおソーラーは中間期が長くなり、春と秋をいち早く招く季節の「先取り効果」があり、冬と夏の季節の導入期の「備え効果」が得られます。高断熱・高気密住宅との融合効果は、真冬と真夏にも中間期のよさを実現することができることです。
地球から見た太陽の高さは、秋分と春分を境にして、冬至には一番低く(日が短く)なり、夏至にはもっとも高く(日が長く)なります。建物の屋根や壁が受ける太陽熱の量も、季節によって変わります。そんな太陽を、どう捉えるか。びおソーラーの家は「太陽と対話する家」です。
ヒトの変温動物化が進んでいる。「輻射暖房」なら、冬に20℃でも寒くない。
ヒトの身体の中心温度は、ほぼ37℃に保たれています。体温が一定なのは、食べ物などで体内につくり出されたエネルギーと、等しい量のエネルギーを放出しているからです。その放出は、放射、対流、伝導、蒸発によって行われます。
ヒトは、外気に触れるときだけでなく、家の中にいても、室内の環境と熱のやりとりをしています。
ヒトは寒ければ体内で熱をつくり、暑ければ体内の熱を放散して、体温を調節する機能を持っています。恒温動物といわれるユエンです。
近年、人工的な環境に身体が順応したため体温調節機能が退化し、ヒトの変温動物(魚類や爬虫類など)化が進んでいるとの指摘があります。夏場の運動時に子どもが変調を来したり、熱中症に罹りやすくなったのは、その影響です。
びおソーラーは、蓄熱と輻射(放射)、建物の断熱化によって得られる間接暖房法です。対流式のエアコンは、熱風を部屋に吹き出して暖房します。
熱風で自分の周囲の空間を暖めても、周壁(床・天井含む)温度が冷えていたら寒く感じます。
逆に、周壁温度が高ければ、窓を開けても、急に室温が低下することはなく、20℃でも寒く感じません。
「自然室温で暮らせる家」へ
建築家の清家清(1918年 ― 2005年)さんは、どんな温熱環境が理想かと聞かれ、「それはね、冷房していないと感じる冷房、暖房していると感じない暖房だよ」といわれました。
50年前までは、「自然室温で暮らせる家」は普通でした。「自然室温」は、エアコンなどにより加熱も冷却もしない状態をいいます。
びおソーラーは、広くエアコンが普及するエネルギー多消費時代に、太陽を取り込むことで「自然室温で暮らせる家」を実現しよう、という取り組みです。システムは簡単、資材も工事費の負担も軽く、ムリなくやれるのが最大の特長。『ガマンの哲学』はやめてエアコンもかしこく利用。
びおソーラーのレシピ
動かす費用(ファンの消費電力50Wで計算)
冬の稼働時間 7時間×31日=293円
夏の稼働時間 12時間×31日=503円
※毎日目一杯、天候に関係なく稼働した最大値
効能/太陽で床暖房・夜間放射冷却による涼風取り入れ・毎時300立法メートルの新鮮空気を、暖めながら導入、換気に利用。
方式/太陽熱利用による空気集熱式。
対象/新築、リノベ住宅・保育園、高齢者施設など。
部位構成/基本資材は図の通り。
造り方/設計が大切、工事は簡単。屋根にガラス集熱ユニットを設置、ユニットとフアンボックスを繋ぐ。温度スイッチを接続する。ダクトを用いて熱を床下に運ぶ。