【工務店特集】地域工務店の柔らかい取り組み~浜松市:入政建築様

3月中旬の頃、びおソーラーを多く扱われている浜松の工務店、入政建築様へ自社の取り組みをインタビューさせてもらいました。現在、入政建築様では専務取締役 新野恵一さんの自宅兼モデルハウスとして、「素(巣)で暮らす」という言葉をヒントにした自社スタイル『Sukura』シリーズの三番目のモデルを建設中です。本社事務所の隣にある芝生広場で建築を開始し、建物それ自体が社の看板となるように、内側は緑が茂る広い庭スペースが取られています。計画の中心人物である新野恵一さんは、通常業務の傍ら、木製アイテムを扱う自社ブランド「aisu」を立ち上げて、他業種とコラボするなど、精力的な活動をされています。
新しい『Sukura』の特長的な計画も、将来的にお客様との接点を生むための土台づくりとなるでしょう。真夏の完成予定に先立ち、今後の試みと意気込みを伺ってきました。


くつろげる場所の延長として。
”町のエンガワ”を目指す。

手の物語スタッフ:
今回、Sukuraとしては3軒目の建築となりますが、そのスタートラインはどういったものなのでしょう?

入政建築:新野恵一さん(以下新野さん)
最初は建築家の秋山東一さんのアイデアから始まりました。Sukuraで新たにモデルハウスをつくろうということになり、当初建物を2軒並べてみようかどうしようか、と考えていたところに秋山さんが「道路に面してるなら、街道っぽくしてみたらどうだろう?」と描いてくださったスケッチから着想を得ました。
建てている場所は内側の庭スペースも含め、ウチで開催した『Green Fes』という野外イベントや、ドッグランとしても使っていたところです。


入政建築:専務取締役 新野恵一さん

自宅も兼ねたモデルハウス部分は、予約制で見学ができるようにする予定で、併設された平屋部分はフリースペース的な位置付けにしようと思っていますが、具体的な用途はまだ考え中です(笑)。
将来的には一般向けに開放して、訪れた方たちに気軽に入ってもらえるような場所にすることを考えています。
平屋部分から中に入ってもらうと、緑が広がっているような空間にします。そのため元々の木を残しつつ、更に森っぽい場所にしようと考えています。

手の物語スタッフ:
新型コロナの影響がありますが、他の工務店の方たちも、空いてる敷地を使ってカフェを開くなど、自社の環境を活用されている話を数年前から聞いています。入政建築さんもそこを意識されているということでしょうか?

新野さん:
当初の考えでは、まず純粋に一般の方たちが ウチの庭へ気軽に来てくれたら、という気持ちで始めました。
ウチで開催している『Green Fes』もそうなんですが、地域の人たちにくつろいでもらって、緑も含めた外の良さを感じてもらえたら、”町のエンガワ” として繋げることができると思います。



2019年に開催されたGreenFesの様子


フェスの夜。心地よいひと時でした。

Green Fes の情報はコチラ
開催中レポの様子はコチラ【入政建築公式ブログ】


手の物語スタッフ:
町のエンガワというのは、イイ言葉ですねえ(笑)。

新野さん:
イイ言葉ですよねえ! ただコレ、大阪のとある工務店さんの受け売りなんですよ(笑)。そちらも自社にカフェやワークショップを運営されていて、通りかかる人に自由な空間を提供されてるんですけど、私たちの場合は縁側でくつろぐ気分を外出先で感じるなら、緑の多いこの場所がそうなんだ。というところを目指したいんですよ!
新型コロナの影響を考えれば少し先のお話しになってしまうのですが、そこからウチの仕事に共感してもらって、そして声をかけてもらえれば嬉しい限りです。

手の物語スタッフ:
「Green Fes」といえば当方も伺わせてもらいましたが、夜が更けてのライブは穏やかだけど特別な雰囲気がありましたね。参加された方たちも凄く楽しまれている感じがしました。新しいSukuraが完成した後もフェスは開催するんですか?

新野さん:
新型コロナの影響が終息したら必ずやります!
楽しみにしていてください!


 住まい手たちの心地よい距離感が、 ”ちょうどいい”住まい方へと繋がる。

手の物語スタッフ:
Sukuraもそうですが、設計される建物について、どのような快適さや暮らし方を提供したいと思われていますか?

新野さん:
飾らないで、無理をしないで、”ちょうどいい”というスタイルの提供がウチのモットーですが、大事にしたいのは、その家に住む人たちの”距離感”だと思っています。家族同士でも年を重ねてくると、いつまでも身を寄せすぎることはありませんよね?かといって、各部屋に閉じこもってしまうのもまた違います。互いの気持ちや信頼を崩さず、仲良く暮らしてゆくには、心地よい距離感が大事だと、私たちは考えています。これは建築を家業にしているからこその考え方であり、またお客様から共感をいただくためのウリだと思っていますが、そこの伝え方と実現が、重要な課題になりますね。

例えば、2軒目のSukuraにはちょっと一人になれるような小屋を設けています。見学に来られたお客様には先の距離感を伝えた上で、”家”の中とはまた違った使い方ができますよ、という提案をさせてもらっています。
それと家の中では、階段を中心に屋内をぐるりと歩いて巡れるような造りを意識しています。住まい手が家の中をアクティブに動ける空間にすることで、一つの場所に留まらないようにするためです。



ウッドデッキ上に建てられた小屋。
Sukura大久保:リンク   by入政建築


階段を中心に、一階の全容を歩いて周れるリビング。
南北の庭を愉しむ家:リンク   by入政建築


ヒトがアクティブになれる住まいとは?
そのための”建築”と”びおソーラー”。

新野さん:
家をアクティブな状況にするためには、室温環境も重要な要素です。決まったところだけ暖かい、涼しいという環境ではなくて、やっぱり家全体の温度が整っている方が理想です。空気集熱式ソーラー自体は社長の代から使わせてもらっていますが、やはりなくてはならないものだと思っています。

びおソーラー」は床下から家全体を、住まい手の身体にとって自然な温度環境に近づけてくれる。社長も言っていましたが、びおソーラーがある家は、冬に風呂場や手洗いも寒い思いをすることはない。つまり住まいの中でアクティブにいられるということですよね。
そうしたところが良いなと思い、積極的に採用させてもらっています。

びおソーラーの情報はコチラ


点が線となるようにお客様と繋がる。
地域の工務店発「aisu project」の試み。

手の物語スタッフ:
御社では「aisu」というプロジェクトを実践されています。
これはどういったものなんでしょうか?

新野さん:
「aisu」は、自社で作ったスツールなどの木製アイテムを世間に広めることで、飾らず、無理をしない暮らし方を提案して、実感してもらおうという取り組みです。
販売もしていますが、共感をいただいた他業種の企業やお店にコラボとして製品を置かせてもらい、訪れた方々に木のぬくもりや質感を実感してもらうことを目的にしています。

aisu」のスツール  写真提供:入政建築

手の物語スタッフ:
実際、どういった業種の方たちとコラボされているのでしょう?

新野さん:
美容室やショッピングモール内の大型書店、養蜂園、ソースを生産している企業の直売所など、色々なところでウチの製品をお披露目しています。

手の物語スタッフ:
最初はどういった切っ掛けでスタートされたのですか?

新野さん:
自然食材を扱う有名なお店からの依頼で、イベント&カフェスペースをリフォームさせてもらったのが始まりですね。
その時に据えた共用キッチンをご覧になった方から、お仕事の依頼が来たんですよ。この事から、ウチが作ったアイテムを置いてもらうことで、ウチの仕事の一端を見てもらえる機会が増すのではないか?と。場所に点として置いたものがいずれ線になってウチに結び付いてくれる。そんな風に思い浮かんだのがキッカケです。ただ毎度キッチンを、というわけにもいかないので、置いてもらいやすいアイテムとして、スツールなど小さいながらも日常的に使ってもらえるものを作りました。

折しも地元の銀行で、事業支援のための参加型プログラムがあったので応募したところ、はじめての参加で最終選考まで残ることができました。応募すると起業家の方がメンターとして付いてくれて、プレゼンまでの4か月間、計画のブラッシュアップについて相談に乗ってくれるんです。かなり良い勉強をさせていただきました。


aisu」の組み立てベンチ  写真提供:入政建築

「aisu」公式ページはコチラ

 


取材を終えて。
工務店からの″自然”な提案。

今回のインタビューは新野恵一さんからの提案により、ZOOMによるテレミーティングで実施されました。
新型コロナウイルスの影響もあり、なかなか動きにくい時世の中ですが、間髪入れずに新しい手法を実践する柔らかい思考に、とても新鮮な印象を受けました。
SNSやネットだけではない、実質的な活動でお客様との繋がりを発掘してゆき、お客様と家を造られるところまで急がずに結びつけてゆく。地域の工務店:入政建築様の次世代からは、余裕のある気概が感じられました。

最後に、「びおソーラー」を多く採用される工務店様は、いずれも住まい手に「身体にとっての自然」を説かれています。
伝え方は様々ですが、「自然室温で暮らせる家」の素晴らしさと「上質さ」を知っているからこそ、お客様からの信頼も得られているのだと思います。

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