◆もっと知りたい「びおソーラー」◆06

ブリコラージュする人・奥村昭雄

冷燻の生ハム製造機

おが屑と蚊取線香の消えた形

奥村昭雄は東京藝大の教授を務め、建築家であり、家具作家であり、博覧強記の人です。けれども本の虫ではなく実学の人で、おもしろいことが大好きな人でした。

おいしいものが大好きな人でもあって、ある日、無性に冷燻のハムを食べたくなって、その装置を作ることを思い立ちました。
最初の生ハム炉は寒の内はいいものの、外気温度が増すと炉内温度が高くなり、冷燻の要件を満たしてくれません。空気がなければチップは燃えません。冷燻にするには、チップを燃焼時間は約100時間を要します。

そこで奥村は、おが屑と蚊取線香の消え方の研究に没頭します。おが屑の曲り目と蚊取線香の幅が太るところは、同じ曲線を描いて消えることが分かりました。こうして作られた生ハム製造機によって、奥村は冷燻の生ハムを食しますが、保存するには真空パックを必要とします。
奥村はそれを、家庭で使う普通の掃除機と電気アイロンを使って行いました。

※ブリコラージュ:その場で手に入るあり合わせの道具や材料を寄せ集めて、それらを部品として試行錯誤しながら何かをつくりだすこと。

奥村昭雄氏

奥村昭雄(おくむら あきお)
建築家・家具作家

1928年東京都生まれ。
東京美術学校卒業後、吉村順三設計事務所に入所。東京藝術大学教授を経て同名誉教授。木曽三岳村に板倉民家を再生して工房をつくる。
日本独自の空気集熱式ソーラーを開発・普及した功績により国際太陽エネルギー学会(ISES)ウィークス賞を受賞。日本のパッシブソーラーの草分け的存在とされ、地球環境時代の建築技術のあり方を示し、多大な影響を残した。

地球は、巨大なパッシブシステムでできている

日本のパッシブソーラーは、この「パッシブ宣言」から始まりました。

大気と海のおかげで、地球は生命を生み出す環境をもつことができた。生まれた生物は、原始地球の環境をすっかり改造して、人類が誕生する条件を整えてくれた。同じ太陽の下にありながら、酷寒と酷暑の兄弟星達と違って、地球だけが、大気と海と生物による巨大なパッシブシステムをもっている。

いま、我々は、完全な人工環境を作る技術を手にしている。しかし、地球という環境の中から育ってきた人間は、自然環境から受ける刺激を必要としているし、それによって活性化されるという本性を失ってはいない。閉ざされた人工環境を作る技術の方向ではなく、環境とアクティブに関わりながら生きたいという人間性をもう一度強調しようとするのが、パッシブシステムの方向である。

自然環境にめぐまれた日本では、建築だけでなく、生活や思想を含めた文化総体が、自然と深く関わって形成されてきた。パッシブシステムという言葉は外来語だが、その内容は日本人にとって目新しいものではない。伝統的な生活様式の延長線上にあり、それを新しい考え方と技術で発展させるものである。一方、我々の地球という熱環境は、危機的状態に近づいているという警告が発せられている。

人間にとってかけがえのない巨大なパッシブシステムが、人間の手で壊されようとしている。エネルギー消費を減らさなければならないことは、経済や資源の問題を越えた至上命令なのである。しかも先進国というひとにぎりのグループだけがエネルギー消費を独占している現状が、これからそう長く許されているはずもない。こうしたことが、我々にパッシブシステムを要求している根本的状況である。
生命にとって一瞬も欠かすことのできない大気が熱の運搬者であり、生命を生んだ海が巨大な蓄熱体であるように、パッシブシステムでは、建築の空間や構造物そのものを環境の中で熱的にも機能させる。装置を付け加えるというものでも、ある手法を採用しさえすればよいというものでもない。建物それ自身を熱的な役割としてもとらえるのだから、パッシブシステム設計は、建築設計行為全体の中にとけ込んでしかあることはできない。

自然環境のもっている力を最大限に利用しようとするとき、当然、その場所の環境・気候条件の把握の中から手法をさぐりださなければならない。それゆえパッシブシステムは画一的なものであり得ず、地域性をもつはずである。建物の使用条件、住み手のアクティブな関与によって機能するから、パッシブシステムは無限の多様性をもって表われる。

『パッシブシステム住宅の設計』(丸善1985年刊)序文より。文・奥村昭雄

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■空気集熱式ソーラーの原理になった星野の山荘
このスケッチは、市販されているポット式ストーヴの煙突の外側を板金ダクトで囲み、その間の熱を、天井近くに取り付けられたファンで床下に押し込め、床暖房に利用するシステム・イラストです。「煙道熱管回収ストーヴ暖房法」と名付けられました。
奥村は、目に見えない熱や空気の動きまでを、建築のデザインと考える建築家ですが、この方式は、思考を重ね、練り上げることで、やがて空気集熱式ソーラーとして結実を見るのです。

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