Jパネル30ミリ板で、何を作れるのか。
建築家・河合俊和さんに家具をデザインしてもらい、洋裁で行われるような「型紙」を作ってもらいました。

河合さんは、素材それ自体が持つチカラを引き出すことに、いつも心を砕く建築家です。設計は、敷地や予算など、与えられた条件下の仕事です。
今回は2枚の板材です。彼は、この素材の板面と小口が持つ表情に目を向け、そうして6つの家具をデザインしました。この「型紙」は、その結果のものです。
これをヒントにして、作り手の経験とアイデアを大いに発揮して作っていただければ幸いです。

ベンチを2つ

材料:Jパネル 910×1820×30mm × 2枚
Jパネルの精度を生かした、板組み方式。
座高さ45㎝は、さっと腰掛けるのに都合が良い。高いと思う人は、3㎝程低くしてください。
パネル2枚で2つ制作可能です。

ダイニングテーブル

材料:Jパネル 910×1820×30mm × 2枚
天板は、パネルフルサイズ。長手方向に大きな面取りを施したシンプルなフォルムです。
脚部板は、内側のみ面取りを施します。面取りは、このパネルの特徴を表現するひとつの手法です。

文机を2つ

材料:Jパネル 910×1820×30mm × 1枚
昔の文机より少し高め。現代人のスケールに合わせました。
文机は、今も昔も机の下に膝を入れずに使います。側板の内側、角を嫌って面取りを施しました。シンプルな形態は、マルチな利用が考えられます。
パネル1枚で2つ制作可能です。

リブレリア(本棚)

材料:Jパネル 910×1820×30mm × 3枚
横板(棚板)に縦板を前後から挟み込む組み式構造。横板の撓みを軽減するためです。
前後の縦板同士が取り合うところは、部分やとい実で固定。横揺れ防止は背板で固定。
パネル材料は、両面化粧のものを用いています。

センターテーブル その1

材料:Jパネル 910×1820×30mm × 2枚
巴に組んだ脚部に天板を落し込む組み式。
高さは36㎝に設定。使用目的によっては、32㎝の高さまで下げるのもいい。

センターテーブル その2

材料:Jパネル 910×1820×30mm × 2枚
X型に組んだ脚部に天板を落し込む方式。
制作に精度を要求されるが、完成度が良いとパネルの特性をより表現できるのではないかと考える。

家具写真 ©室澤敏晴
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河合俊和

一級建築士事務所 河合俊和建築設計事務所代表。岐阜市出身。日本大学理工学部建築学科卒業。東京藝術大学美術学部建築科大学院卒業。香山壽夫建築研究所、スタジオ アンジェロ・マンジァロッティを経て、1996年に独立。代表作に、裏磐梯のホテル、猿楽町の家他。